コラム

KANADEMONO REAL SESSION vol.01 |
トークセッション レポート

イベントトークセッション1

2026年5月、KANADEMONO TOKYO にて第1回ファンミーティング【 KANADEMONO リアルセッション 】を開催しました。

今回は、普段は法人のお客様のみをご案内しているショールームに、日頃から KANADEMONO を愛してくださっている一般のお客様をお招きしました。

ブランドの歩みから、サイトからは見えないプロダクト開発の舞台裏まで。デザイナー、バイヤーが登壇したトークセッションの模様を、じっくりとお届けします。

イベントトークセッション-イベント代表

菊地 颯

イベント代表

SNSチームを率い、オンラインを通じてブランドの世界観を発信する仕掛け人。

イベントトークセッション-デザイナー

久語 咲穂

デザインチーム

THE TABLE シリーズをはじめ、素材の特性を活かし、エッジの効いたプロダクトを手掛ける。

イベントトークセッション-バイヤー

神谷 晶子

バイヤー・MD

買い付けや企画と併せて、仕入れ全体のMD構成を担当。

「既製品に自分を合わせない」
パーソナライズ家具の原点

─── 本日はお集まりいただきありがとうございます。初のオフラインイベントを開催された理由とブランドの歩みについて、まずはイベント代表の菊地よりご説明させていただきます。

イベントトークセッション3

菊地:KANADEMONO は2018年、「自分の部屋にぴったり合うお気に入りの一台が見つからない」という創業者の個人的な悩みから、「ないなら自分たちで作ろう」とスタートしました。そこから、1cm 単位のサイズオーダーができる「THE シリーズ」などを中心に、自分らしい空間づくりを提案しています。


イベントトークセッション4

菊地:オンラインショップとして多くの方に知っていただけた反面、画面越しだけではものづくりの「熱」が伝わりづらいという葛藤もありました。ブランドと顧客という関係性を超えて、普段は体験できないような深い関係性を作れる時間が必要だと思い、今日という日を企画しました。

皆様と、これからの KANADEMONO を一緒に創り上げていくパートナーのような関係性を築く、今日はその第一歩だと思っています。短い時間ですが、今日が終わる頃にはお互いの距離がより近くなっていたら嬉しいです。

開発の舞台裏①
デザイナーの見えない計算と「余白」

─── ここからは、実際に KANADEMONO のプロダクトを生み出しているお二人をお迎えします。まずはデザイナーの久語さん。KANADEMONO の代名詞といえば「1cm 単位のサイズオーダー」と「豊富な天板と脚の組み合わせ」ですが、デザインや設計の面では相当大変なのではないでしょうか?

イベントトークセッション5

カフェテーブルやガラステーブルなどエッジの効いたアイテムをデザイン

久語:はい、正直に言うと…かなり大変です。普通の家具はサイズ展開が決まっているのでそのサイズに合わせて設計できますが、KANADEMONO は 1cm 単位のサイズオーダーです。幅 70cm のコンパクトなものから、脚を6本使った2メートル越えの大きなものまで、全てのサイズに対応できるカスタマイズや強度を何パターンも考えなければなりません。

しかも、無垢材やリノリウムなど、重さも硬さもしなり具合も全然違う天板を、同じデザインの脚で支えなければいけない。目の前の1つのプロダクトだけじゃなく、常にすべての横展開を考えて設計しています。


─── サイト上で当たり前のように綺麗に並んでいる裏側には、そんな苦労があったのですね。

イベントトークセッション6

久語:サイズオーダー × 短納期 × 無駄のないシンプルデザイン。これをすべて成り立たせつつ、同じビジュアルで選んでいただけるのは、実は「奇跡に近いんじゃないか」って自分で思ってしまうくらい、見えない計算が詰まっています。

PC上の図面では「完璧だ!」と思っても、いざサンプルが立体になって出来上がってくると全然ダメだったりして、ボツ作もたくさんありました。

例えば、新しい脚を開発していた時、デザイン的には綺麗でも力のかかり方によってねじれる感じがあり、構造的に弱いためNGになったものがありました。


イベントトークセッション7

過去のボツ作。これらの試行錯誤を経て、新しい商品が生み出された。

久語:また、デザインを洗練させようとスチール部分を極限まで細くしたら、安定感はあるものの、チームから「足先がなんだか虫っぽくて気持ち悪い……!」と言われてボツになったこともありましたね。構造を頑丈にするとデザインが野暮ったくなるので、常にちょうど良いところを探すのに苦労しています。

カフェテーブルを見る

─── そんな試行錯誤を経て、私たちが目にするミニマルな美しさが生まれているのですね。デザインにおいて、他に大切にされていることはありますか?

イベントトークセッション8

実際に自宅で使用している THE シリーズ。決められた使い方だけでなく自身でのアレンジも楽しみの一つ。

久語:「アレンジできる余白を残すこと」です。用途をある程度お客様に委ねたいと思っているんです。私の家でも、本棚として買ったシェルフにいつの間にか植物が並んでいたり、逆にベンチに本がびっしり並んでいたりします。

お手本通りじゃなくていい。KANADEMONO の家具で、お客様自身が「自分らしい工夫」を楽しんで、心地よい空間を作ってくださるのが一番嬉しいですね。

開発の舞台裏②
名脇役のバイイングと、失敗から生まれたヒット作

─── まさに「あなただけの“ちょうど良い”を実現する」というブランドの想いそのものですね。こういった点は、神谷さんがセレクトアイテムを選ぶ際にも通じる部分がありそうです。どういった視点で商品をバイイングされているのでしょうか?

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ブランドの世界観と合わせた、照明や収納ラックなどをバイイング。

神谷:私は世の中の素敵なものをただ集めるのではなく、「KANADEMONO の世界観と合わせた時にどんな化学反応が起きるかな」という“掛け合わせ”を一番大事にしています。セレクト商品は、ベースとなる THE シリーズをいろんな表情に変化させる「名脇役」としての役割も大切なんです。

選ぶ基準としては自分の好み 100% ではなく、常に自分の中にある「KANADEMONO という人格」と照らし合わせて、俯瞰した視点を入れるようにしています。最近は買い付けだけでなく、オリジナルアイテムの共同開発などもやっているのですが…やっぱり壁だらけですね。


イベントトークセッション10

神谷:過去の例で分かりやすいのが、私が企画した「海外水道管ベースのハンガーラック」です。私の無骨な好みを KANADEMONO の空間のスパイスにしたくて企画したのですが、最初のサンプルは見た目は最高にかっこよかったのに、ビスが細すぎて常にグラグラ揺れる代物だったんです。

一瞬「見た目重視!グラグラします!」って注意書きを入れて売っちゃおうかと魔が差したんですが、KANADEMONOのメンバーは本当にみんな真面目で誠実なので、私自身が「これはいかん!」と踏みとどまりました。


イベントトークセッション11

試行錯誤を重ねたハンガーラックは大ヒット商品に。


それで頑丈にするために工場と練り直したら、次に上がってきたサンプルは完全にただの「物干し竿」になってしまって…「これじゃない!!」と。

そこからチームのみんなにも助けられて、ようやく現在のすっきりとしたフォルムに辿り着きました。おかげさまで、今は欠品状態でお客様をお待たせしてしまっているくらい好評をいただいています。

商品を見る

─── お取引先との熱い交渉もあると伺っていますが、どういったポイントが重要と考えますか?

イベントトークセッション12

神谷:単純に「お取り扱いさせてください」とお願いするのではなく、「パーソナライズ家具のリーディングブランドを目指す KANADEMONO という舞台を使って、一緒に面白いことやりませんか!?」という、“共創”のワクワク感を提案するようにしています。一緒に何かやりたいというその想いが、熱量となって伝わっているんだと思います。

私たちが最高にワクワクする瞬間

─── 改めてお聞きすると、商品開発やバイイングは本当に奥が深いお仕事ですね。お二人がお仕事をされていて「これだから辞められない!」「最高にワクワクする!」と感じるのはどんな瞬間ですか?

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久語:私は大きく2つあって、1つはサンプルが立体になって出来上がった時。何パターンも図面やCGで描いてきたものが物理的に目の前にくるとテンションが上がります。ビシッと思ったものができた瞬間はもちろん、失敗作が出来上がってきた時も、それはそれで楽しいですね。

2つ目は図面を書いている時。色々と比較検討しながらいくつも図面を作っている時間はワクワク感があります。


イベントトークセッション14

神谷:私は3つあります。1つ目は、展示会や工房で作り手側の「ものづくりへの熱量」を最前線で浴びながらモノに触れる時間。2つ目は、頭の中で「過去・現在・未来の KANADEMONO」を猛烈に妄想しながらモノを見ている時に、パズルのピースがハマるように「あ、これいけそうじゃん」と閃く瞬間です。この直感が降りてきた時は本当にワクワクしますね。

そして3つ目は、自分が閃いたアイテムをチームのみんなにお披露目して、みんなが「これいいですね!」って良い反応をしてくれる姿を見た時です。


─── 作り手の熱量、そしてチームでの共感。そこから KANADEMONO のラインナップが生まれているのですね。

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久語:やっぱり一番感動するのは、お客様が SNS で KANADEMONO の家具を使ってくださっているのを見かけた時ですね。

特に私たちが想像していなかった組み合わせで購入いただいている時や、考えつかなかった使い方をしてくださっているのを見つけると、作った私も刺激を受けますし、「作ってよかったな」と心から思います。


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神谷:私もまったく同じです。チームで盛り上がったものがサイトに並んで、最終的にお客様からの嬉しいコメントとして目に見える反応をいただけた時、心の中で「よっしゃ!」とガッツポーズしています。バイヤーをやっていて良かったなと心から思う瞬間ですね。

暮らしを、あなたらしく「奏でる」ために

イベントトークセッション17

作り手の生の声を聴き、普段は見られない試行錯誤の裏側を共有したことで、会場にいたスタッフとお客様の距離は、イベントが始まる前よりも確実にぐっと縮まっていました。

デザイナーが「余白」を残して設計した家具を、バイヤーが熱量を持って仕入れた名脇役たちと掛け合わせ、最後の仕上げとしてみなさまが自分のライフスタイルに合わせて空間に「奏でる」。お客様の手に渡り、使われて初めて、KANADEMONO のプロダクトは本当の完成を迎えます。

KANADEMONO はこれからも、単なる「作り手と買い手」という関係性を超えて、ファンでいてくださるあなたと共に新しいライフスタイルの価値を創り上げていきます。

今回は参加できなかった皆様も、ぜひご自身の部屋で、あなただけの「ちょうど良い」空間を一緒に奏でていきましょう。

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