古くから愛され、日本の住文化の中心を担ってきた畳。
ライフスタイルや住環境の変化にともない、必ずしもどの家庭でもみられるものではなくなりましたが、最近ではその日本の風土に適した特性が改めて評価されはじめています。
KANADEMONO ではそんな畳にフォーカスをあて、TATAMI シリーズとして置き畳の取り扱いをスタート。畳の建材としてのあり方を柔軟に解釈したモダンな取り入れ方を提案しています。
こちらでは、畳の歴史や作られ方について触れるとともに、その優れた機能性について紹介します。知るほどに奥深い素材の魅力や、和の空間そのものの美しさを感じてみてください。
畳とは
畳の歴史
畳の歴史は言うまでもなく古く、日本最古の歴史書「古事記」(712年編纂)にまで遡ります。その時代の畳は現在のものとは違い、さまざまな薄い敷物の総称であったようです。それらを使わないときにたたんで置いていたことが、畳の語源ともされています。
平安時代には現在に近いかたちの畳が富や権力の象徴として発展、室町時代になると小さな部屋に畳を敷き詰めた「座敷」と呼ばれる空間がうまれます。
時を経て江戸時代には茶室や数寄屋建築の建材として浸透、その流れを汲み、昭和にかけて一般に広く用いられるようになったといわれています。
現代の畳
やさしい色合いや素朴な風合い、心落ち着く香りが魅力の畳。時代や地域、用途によって姿かたちを変え、現在ではさまざまな素材や色合い、デザインやサイズのものが流通しています。
どちらも素敵な和の空気感を感じさせますが、KANADEMONO ではよりシンプルで洗練された、天然のい草の置き畳をセレクト。
場所を選ばず気軽に取り入れることができる、現代の生活にちょうどいいラインナップをご用意しています。
KANADEMONO の TATAMI ラインナップ
TATAMI 国産のい草をつかった 置き畳 4.5畳
置くだけで「和」のスペースを作れるユニット畳。4.5畳セットは、ローテーブルを置いて家族団欒の場にしたり、草庵茶室をつくってカジュアルな茶会を楽しむこともできます。
TATAMI 国産のい草をつかった 置き畳 スクエア(70 × 70)
モダンなスクエアの置き畳。1枚だけ取り入れて、い草の爽やかな香りや手触りで五感を研ぎ澄ます自分だけの「オフ」の場所にしてもよし、2〜4枚をつかって「侘び寂び」を感じるひとときをつくるのも素敵です。
TATAMI 畳縁なしの洗練された 置き畳 70 × 70
丁寧に織り上げて作った畳表を縁(ヘリ)なしでスタイリッシュに仕上げた置き畳。中材には発泡ポリエチレンと木製ボードを使用しているので、ボードの丈夫さと程よいクッション性を感じられる仕様です。
TATAMI 沖縄で育ったい草をつかった 贅沢なゴザ 130×200・191×191
沖縄の太陽の光をさんさんと浴びて育った希少価値の高いい草を贅沢に使用した、素朴さと重厚さが魅力のプロダクト。本土のい草と比べて太さは約2〜3倍、重量は約2倍もあるので、とても丈夫で耐久性があります。
畳ができるまで
畳の製造工程
伝統的なスタイルの畳は芯となる「畳床」、表面となる「畳表」、縁の帯部分の「畳縁」から成り、それぞれを丁寧に縫い付けることでつくられます。種類にもよりますが、さらなる繊細な作業や時間のかかる工程があることも。
特に畳表の材料となる「い草」は、一年という長い月日を通して、生産者の方々の手によって大切に育まれています。
い草ならではのユニークな工程、泥染めについてもあわせてご紹介。やさしい風合いや香りを引き出す、大切な伝統手法です。
※ 商品によっては、泥染めの工程を行わないものもあります
大切に育まれる い草
STEP1:苗作り・株分け
夏に、土質の良い畑でい草の苗を作ります。 秋に、成長したい草の苗を掘り起こし株分けすることで、植え付けに適した太さに調整していきます。
STEP2:植え付け
冬になると、水を張った水田にい草の苗を植え付けます。均等に植え付けられた姿に、豊かな成長を願います。
STEP3:先刈り・網掛
春になるとい草も大きく成長。ばらつきを抑えてさらに丈夫に育てるために上部を刈り取ります。そして網を掛けて、い草が倒れるのを防ぎます。
STEP4:刈り取り
最高160〜170cm ほどまで成長したい草を刈り取っていきます。刈り取ったい草は、次の工程、泥染めへとすすみます。
ユニークな泥染めの工程
泥染め前のい草
刈り取ったい草は、染土を溶かした水に浸してから乾燥させる泥染めののち、機械にかけて選別されます。
い草ならではのユニークな工程
この工程によって、い草の艶やかな風合いや香りが引き出されます。退色を遅らせる効果もあるんだそう。
乾燥を経て
刈り取りたてには鮮やかだったグリーンが落ち着いたやさしい色合いに。一般にイメージする畳の色合いですね。
製品化をまちます
選別されたい草はどこか凛とした雰囲気。「畳」と一口に言っても、たくさんの時間と手をかけられながらできていく、奥の深い素材なんですね。
実は畳は機能的
畳表に用いられるい草については諸説ありますが、原産地のインドから、シルクロードを経て朝鮮半島、そして日本へ伝わってきたとされています。
別名「燈芯草(とうしんそう)」というように、日本では行灯の灯心に用いられたり、薬草としても重宝されていたそう。
さまざまな歴史やライフスタイルの変遷を経たいま、日本の風土に適した畳の機能が改めて評価されはじめています。
- 調湿効果
- やさしい香りでリラックス
- 空気を清浄化
- その他のうれしい効果も
調湿効果
畳に用いられるい草最大の特徴は、その高い吸湿性。洋室に比べて、畳を敷き詰めた和室は雨天時などに湿度が上がりにくいという実験結果が報告されています。
※ グラフ参照
反対に空気の乾燥時には、蓄えた水分を室内に放出する特性ももつため、夏は高温多湿で冬は寒く乾燥する、表情豊かな四季を繰り返す日本にぴったりの素材といえます。
結露予防にもなり、一年を通してさらっとした肌触りを愉しめるのも嬉しいポイント。リビングはもちろん、寝室にも最適です。
やさしい香りでリラックス
「畳は部屋の中にある森」とも表される独特ない草の香り。あの清々しい香りは、い草の芳香成分のうち20% と一番多くを占めるフィトンチッドによるもの。
フィトンチッドは、実際の天然の樹木が拡散する香り成分で、森林の香りの源。まるで森林浴をしているかのように清らかで落ち着いた気持ちにさせてくれる成分です。
い草にはほかにもα-シペロンや、バニラエッセンスで知られるバニリンなどの芳香成分が含まれ、沈静作用・リラックス効果も期待できます。
深呼吸したくなるような穏やかな香りは、心を落ち着かせたり、大切な人をおもてなしする和の空間にぴったりです。
空気を清浄化
い草の内部は、六角形が重なったハチの巣のような、中空の小部屋がたくさんある構造。その表面積が広いスポンジ状の構造が、空気中の二酸化窒素やホルムアルデヒドを吸着し、室内の空気をきれいにすることが分かっています。
畳となってもなお呼吸するように空気を浄化してくれるい草に、自然の偉大さを感じますね。清潔を保ちたい赤ちゃんのいる家庭にも◎。
またこのスポンジ状の構造には、いやなにおいの原因の一つであるアンモニアなどの化学物質を減少させる効果も。
汗やタバコ、食べ物のにおいなどの生活臭を軽減してくれるので、寝室や食卓をはじめ、寝食の場が一緒となる1Rのお部屋や、ペットを飼われているお家にも最適です。
畳のその他のうれしい効果
畳には他にも燃えにくい性質や、汚れにつよい特性など、日々の暮らしにうれしいポイントが多くあります。
適度な弾力があるので、座り心地もよく素足で過ごす時間にも向いていたり、厚みがある畳には吸音・遮音効果も期待できるので、年配の方やお子さまがいる家庭にもおすすめです。
畳の優れた機能性のまとめ
- 優れた吸放湿性で、日本の気候にぴったり
- 森林浴効果のあるやさしい香り
- 特殊な内部構造が、有害物質を吸着、空気を清浄化
- いやなにおいを軽減・抗菌の作用もある
- 難燃性・防汚性がある
- 適度な弾性があり、吸音・遮音効果も期待できる
畳の効果を長く楽しむには、メンテナンスも大切。意外と知らないお手入れ方法も紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。
日本が誇る畳の需要が減っています
そんな魅力のたくさんつまった「日本が誇る畳」ですが、近年はライフスタイルの変化に伴う和室の施工減少などで市場が縮小し、栽培農家も減ってきてしまっています。
※ グラフはい草が用いられる畳表の数量の推移
世界に誇る日本の文化、畳の生産量がこのまま減少の一途を辿ることになってしまうのは、とても残念なこと。
KANADEMONO では、生産者の方々の努力もありその価値が見直されはじめている畳の再興を、微力ながらもサポートしていきたいと考えています。
TATAMI シリーズでは、明治19年創業・130年以上の歴史を誇る畳の製造業者のプロダクトを取り扱い。い草の素晴らしさ、畳の文化、そして新しいジャパニーズスタイルを発信していきます。