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伝統と革新が息づく ラグ作りの現場

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シンプルさにあなただけの色を添えて ー

KANADEMONO と MIYOSHI RUG が生み出す、新プロジェクト、新しい形のオーダーメイドラグ THE RUG crafted with MIYOSHI RUG シリーズが登場。5cm 単位のサイズオーダーと、豊富なカラーバリエーションで、暮らしに彩りと個性をプラスします。

MIYOSHI RUG はタフティングという技術を用いてラグを製造するハンドメイドラグブランド。日本のタフティング産業全体が衰退する中で、伝統的な技術を若い職人へ脈々と受け継ぎ、現代的なデザインで未来へ繋げるアイテムを次々に世に送り出しています。

今回は、生産地である徳島県三好市へ向かい、ラグ作りの今を取材してきました。三好敷物 代表 市川さんへのインタビューとともに、タフティングラグの魅力を探ります。

地域とタフティング産業を盛り上げる、
若き職人たち

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徳島県三好市を拠点とし、「アートやファッションを通じて伝統技術を守る」をコンセプトに掲げる MIYOSHI RUG。

高松空港から車で約60分。美しい田園風景を超えた先の徳島県三好市の静かな山あいに、多くのアパレルブランドやアーティストと商品を生み出しつづける唯一無二のハンドメイドラグの生産工場があります。

約50年の歴史をもつ工場が受け継ぐタフティングという技術を用いて、職人が一点一点、ラグを丁寧に作り上げています。



※音量にご注意ください。

タフティングとは、基布と呼ばれる専用の布に同時に数本の糸を打ち込み、ラグを製作する技法で、かつては多くの生産工場で導入されていた製造方法でした。

工場の扉を開けると、規則的に響く機械の音と、職人たちの真剣な眼差しが迎えてくれます。一つひとつの工程に込められた技術と情熱。今、ここで生まれる製品には、どんな想いが詰まっているのでしょうか。

タフティング産業の復興の取り組み

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「自社を含むタフティングラグ産業全体が衰退しており、復興への取り組みには現在も課題を感じています」

そう語るのは、MIYOSHI RUG を運営する三好敷物 代表の市川さん。かつて徳島県は、日本国内におけるタフティングラグの一大産地でした。特に三好市やその周辺では、多くの工場が稼働し、高品質なタフティング製品が生産されていました。 

しかし、現在では多くの工場が閉鎖・縮小し、産業としての規模が大幅に縮小しています。ここ数年で現地の高齢化や過疎化により、三好市の職人の数は減少傾向にあるそう。

そんな中でも、MIYOSHI RUG は全国から若い職人が多く集まっています。



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「ここには全員で約10名の職人が在籍しています。20代が半分ほどで、三好市以外から来た人が8割ほど。若い職人が集まっているのは、ブランドの顧客層も若い方が多く、またコラボ先も若年層向けのアパレルブランドが多いので、それが影響しているからかもしれません。」 

もともと在籍していた熟練の職人から、まったく経験のなかった20代〜30代の若い職人へ、タフティングの技術を継承しています。

この道15年のベテラン加藤さんは、「正直若い方は定着しないと思っていたんです。でも実際はみんなしっかりタフティングに取り組んでいるんですよ。本当にみんな良い子でね」と顔をほころばせながら話してくれた。



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製造現場をみていると、2mもの直線を下書きなしで真っ直ぐに引いてく姿が。非常に難しそうなこの作業をおこなうために、どのくらいの年月がかかるのか。打ち込み作業をされていた檜垣さんに伺ったところ、在籍は1年半とのこと。1年半でこんなにも技術が上がることに驚きつつお話を伺うと、納得の回答が返ってきました。

「以前はアパレル関係で、ハンドメイドラグ経験もなく、タフティングに興味をもってここに来ました。個人の技術の進歩は本当に人それぞれですが、みんな休み時間や終業後、休日にも自分の技術を上げるためにここで作業をしています」

他にも自身でブランドを立ち上げたり、個展をひらく職人の方もいるそうで、高い志をもってものづくりに向き合っていることがわかります。



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多くの若い職人がここ MIYOSHI RUG を目指して就職・定住しているものの、観光資源に乏しいこの地域の現状を目の当たりにして、市川さんは三好市の発展のためにさまざまなことを構想中とのこと。

「具体的には、三好市内になにかワークショップ + 宿泊 + オープンファクトリーのような私たちの産業を楽しんでもらえるようなエリアを作れたらな と考えています」 

と、なにやら楽しいことが待っていそうです。幅広い方に、長く愛されるブランドに。これからも MIYOSHI RUG の動きには、目が離せません。



ラグが出来上がるまでの裏側とは

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約50年以上続く伝統的な技術を使いながら、革新的なデザインを提案し続ける同ブランドは、いわばハンドメイドラグ業界の革命児。 

MIYOSHI RUG で扱う多くのラグのデザインを担当する市川さん。アイデアは、街中で見た何気ないものからが多く、例えば地面についた足跡一つからインスピレーションを得ることも。

「デザインをする上では革新を大事に、商品のクオリティを担保するのには伝統的な技術を使って、ものづくりをしています」と、市川さんは語ります。



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しかしながら今回は、どんな空間にも使いやすいラグを提案。デザインを担当した、KANADEMONO で商品開発やバイイングを行う落合さんが、ラグへの思いを語ってくれました。

「品質の高さや職人さんの思いはそのままに、KANADEMONO らしいシンプルながらもカラーオーダーやサイズオーダーできるものを作りました。お客様自身がオリジナルラグを作っているような体験を経て、皆様の手元にお届けします」

ラグそのもののデザインはもちろん、購買体験もデザインの一つと考えた今回のコラボレーション。まさに、あなたに"ちょうど良い"ラグを見つけてもらえそうですね。



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そうして出来上がったデザインを、制作現場へ。どのように打ち込むかなどの設計図を基布に描き、タフティングガンで糸を打ち込みます。その後糊付けやシャーリング、仕上げの工程へ。



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毛足のそろい方一つにしてもきれいに商品を仕上げるクオリティ面に力を入れて製造。仕上げは、四角いものはある程度機械化できるものの、丸型や流線型のものは機械化が難しく、全て手作業になるとのこと。

1点1点丁寧にハサミでカットし、さらに丸みのあるハサミでカット。細かな調整を経てネームタグが付けられ、いよいよラグが出来上がります。

ラグが出来上がるまでの詳細はこちら

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東京の白金台には、三好敷物が運営するタフティングのワークショップ「KEKE」が営業中。完全予約制ながら大人気で、多くの人がタフティングを体験しています。

参加者の反応や、そこで感じた新しい気づきについてうかがったところ、当初はファッションなどに興味がある方が多かったものの、今は分け隔てなくいろんな方々に参加いただいてるとのこと。

「今となっては当たり前ですが」と前置きした上で、ラグをおしゃれなものだけではなく、記念品など様々な用途で使用される事は新鮮だったと市川さんは言います。個人で始めた方々の作品もチェックすることが多いそう。



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「モノクロの色のみで写実のようなものを表現している方もいますし、ソファーのような大きいものを作る方もいます。みんな、すごい発想でものを作っていてよく驚かされます」

と市川さん。徐々にタフティングラグの広がりを感じられるエピソードですね。

また、現在全国の美術系・芸術系学科を持つ教育機関にタフティングガンを合計100台寄付するプロジェクトを進行中。タフティングを日本の手工芸の一部として定着させ、縮小傾向にあるハンドメイドラグ業界を活性化できればと考えているそう。

ラグ作りの現場から

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糸の巻き取りからタフティング、美しい仕上げまで。ハンドメイドのラグは多くの工程を職人が手作業で仕上げています。

こちらでは、普段なかなか見ることができないハンドメイドラグの製造現場をご紹介します。



①糸の巻き取り(ワインディング)
タフティングするため、染色した糸を円錐型のコーンに巻き取る作業。染色した糸はほつれやすく、一度解いてほぐしながら巻き取ることで、作業中に糸がスムーズに供給されるようになります。

②タフティング
専用のタフティングガンを使い、基布の裏側から糸を打ち込んでいきます。この後、糊付けして一晩乾かし、タフティングした糸を固定。これにより糸が抜けにくくなり、ラグの耐久性が向上します。

③シャーリング
刃のついたマシンを使い、表面の余分な糸を削りながら毛足の高さを均一に調整します。高さがバラバラになると全体の仕上がりに影響が出る綿密な作業。ラグの毛並みを均一に整え、美しい仕上がりに。

④仕上げ
ラグの端を美しく仕上げ、ほつれを防ぐための加工。縁に布製のバインディングテープを巻きつけて補強し、デザイン性を高めます。レクタングルタイプは機械で行えますが、ラウンドの場合は一つ一つ手作業で仕上げます。

⑤端切り(はたきり)
制作過程で出る、基布の余白をカットして、デザイン通りの形状に整える工程。ラグのエッジ部分は、カットした後に毛足が乱れるため、直線や曲線など、デザインに合わせた形状のハサミで細かくカットします。

⑥最後に
最後に、ラグの表面をブラッシングして毛並みを整え、不要な毛羽立ちを除去。ネームタグをつけて完成です。汚れやゴミがついていることが無いよう入念にチェックし、あなたの元へ。

多くの人の手を経て、今ここに

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多くの工程を経て出来上がるMIYOSHI RUG。ふわふわとやわらかく温かな手触りは、多くの人の手を経て私たちの元に届いているからなのだと改めて感じます。

一つのブランドとしてだけではなく、地域のため、産業全体のために動く市川さんからは、幅広く、多くの人にタフティングラグという存在を知って欲しいという強い気持ちが表れていました。

KANADEMONO と MIYOSHI RUG はこれからも新たなコラボレーションを生み出していきます。ぜひお楽しみに。


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