コラム

ガジェット系クリエイターにきく
デスクづくりの始め方<マインド編>

ガジェット系クリエイターにきく、デスクづくりの始め方

天板と脚の豊富な組み合わせ、1cm 刻みのサイズオーダーが特徴の KANADEMONO のデスクは、ワークスペースにも多く選ばれています。

こちらではガジェット系クリエイターのオガワコウさんをお招きし、デスク環境作りのプロは何を考え、どのような工夫をされているのかお話を伺っていきます。これからデスクづくりを始めたい、さらにアップデートしたいという方にぴったりな内容となっていますので、ぜひご参考ください。

前編の今回は、オガワさんにとってのデスクとは?などマインド面のお話を。デスクづくりは想像以上に自由で、拡がりのあるものなのだと実感する内容となりました。

[目次]

オガワコウさん


仕事という「体験」をデザインする

チェアに腰かけてお話しするオガワさん

オガワさんは2020年頃から発信をされていますが、デスク周りを整えはじめたキッカケはありましたか?

オガワさん(以下敬称略):自宅での仕事やブログ執筆など、デスクに向かう時間が長くなったことがキッカケでした。

最初はもう少しワークスペースを広くしたいな、せっかくならカッコいい天板が欲しいなと思い、古材のような味のある木材の天板を買ったのを覚えています。その後、椅子やデスク上のアイテムなど、少しずつ買い揃えていきました。

デスクの上に並ぶガジェット

デスク周りを整えはじめたことで変化した部分はありますか?

オガワ:変わったのは仕事の「体験」ですね。あらゆるところで体験・エクスペリエンスが重要と言われますが、例えばあるブランドでの購買行動において優れた顧客体験を経験すると、そのブランドに満足し、愛着を持ち、繰り返し使いたいと思うようになります。

デスクも同じです。こだわりのある仕事道具を使うことで、仕事とのよい付き合い方ができるようになる気がします。

よく誤解されますが、デスクづくりへのこだわりは、単に最新で高性能なガジェットを取り入れて生産性を上げることではありません。それは確かに一つの要素ですが、僕はそれが本質ではないと思っています。

デスクづくりの本質は、効率だけでなく、自分の価値観や美的感覚の反映、その場にいる心地よさ、そういった空間や場所へのこだわりにあります。つまり、仕事をするという体験そのものの「デザイン」です。

自分好みに作り上げたデスクは、そこで働く自分自身への投資であり、尊重の表れです。「このデスクで過ごす時間を大切にする」という姿勢が、毎日の仕事の体験を向上させ、仕事に対する態度や感情をポジティブにしてくれる一因になります。

オガワさんのblogオガワさんが運営される「misclog

オガワさんは整然としたデスク作りをされる印象があったので、「生産性や効率だけではない」というのは意外なお答えでした。自分自身を尊重し、癒す、パーソナルな空間なんですね。

オガワ:そうですね。どんな人でも仕事においては成果を求められ、良い成果を残せるときもあればそうでないこともあると思います。

良いときには達成感を高め、そうでないときには心の拠り所となってネガティブな感情を和らげてくれる。自分好みにこだわったデスクが日々の仕事体験を豊かにし、仕事との距離感やバランスを整えてくれるひとつの要素になります。

人生の中で多くの時間を使う「仕事」だからこそ、体験を重視したい。デスクづくりは、単なる作業台づくりではなく、そんな気持ちの表現方法です。

チェアに腰かけてお話しするオガワさん

ハード面に目がいきがちですが、ソフト面も重要ということですね。常にデスク周りのアップデートをされていますが、どんなところに楽しさを感じますか?

オガワ:前述の通り、デスクは単なる作業台ではなく、個人的な創造の場です。機能性はもちろんですが、材質やデザイン、デスク上のアイテム、ひいては周囲のインテリアに至るまで、使用者の創造性を刺激し、インスピレーションを与える重要な要素だと思います。

デスクを常にアップデートしていくのは、自身の価値観や思考プロセスが常に進化していることの表れかなと思います。新しいアイデアや作業スタイルに合わせて環境を調整することで、優れた仕事体験を維持、高めていくことを楽しんでいます。

電動昇降デスクに向かうオガワさん

スティーブ・ジョブズのデスクは散らかっていた

ワークスペース

それでは、これからデスクづくりを始めてみたい方へのアドバイスがあればお願いします。

オガワ:デスクづくりは「整理が行き届いたスッキリしたデスク」が目指すところだと思い込んでしまう方がいるのですが、決してそうではないんです。

スティーブ・ジョブズのデスクはとても散らかっていたと言われています。一方で MacBook の内部構造、オフィスや店舗レイアウトは、極めて整然とした美を求めていたように感じます。そういった一見すると矛盾とも思えるようなところにも、恐らく自分なりの秩序や美学があったのではないかと想像しています。デスクづくりには、そういった個々の価値観を反映することが重要だと思います。

モノがほとんどない整然とした環境が好きな人もいれば、書類の山が積まれているような少し雑然とした状態の方が創造性を刺激する人もいるでしょう。大事なのは、自分にとって心地よい空間を作り上げ、そこで仕事を楽しむことです。

使いたいものを使いやすく、好きなものを好きなように、自分なりのこだわりを表現するのがベストです。効率や生産性はあくまでもその結果です。

3台並んだデスク

非常に興味深いお話ですね。「こうでなければいけない」という縛りがないので、気負わずはじめられそうです。

オガワ:とはいえ、何をどうしたらいいんだ!と思うかもしれません。具体的なアドバイスとしては、国内外問わず、SNS や YouTube にたくさんのデスク写真が公開されているので、それらを見て自分の好みに合うものを取り入れるといいと思います。

全てのアイテムが黒や白で統一されたデスク、カラフルな光が印象的なゲーミング系デスク、機能性を重視したクリエイター系デスク、あるいは、雑多な印象が逆に良いモノだらけデスク、などなど、複数見ているとカテゴリーや方向性みたいなものが見えてくるはずです。ざっくり進みたい方向を決めて選んでいくと理想のデスクになっていくのではないかと思います。

KANADEMONOのデスクツアー動画サムネイルKANADEMONO の DESK TOUR シリーズ

ありがとうございます。「#desksetup」や「#desktour」などのハッシュタグで、SNS 上で世界中のデスク周りの画像を見ることができますね。KANADEMONO の SNS でも DESK TOUR シリーズを発信していますが、ポジティブなリアクションをいただけることが多く、世の中の関心の高さが伺えます。

後編ではオガワさんが得意とされる、ブラックを基調としたデスクを2パターン、実際にコーディネートしていただきます。ケーブルマネジメントなどのテクニックも必見です。次回もお楽しみに。

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