ファニチャーリノリウム( furniture linoleum)は、アマニ油など天然の原材料から作られた自然素材。
抗菌・抗ウイルス・脱臭・抗アレルギー性に優れているという特徴があり(※)、 「ヒトと環境にやさしい」家具材として、最近注目されている素材です。
※ 特徴については 清潔に保てる、4つの効果 をご覧ください。
アマニ油が酸化する過程でこれらの効果があることが科学的に実証されており、北欧ではサスティナブルな家具材としてよく使われています。
KANADEMONO では、スイスのリノリウムメーカー フォルボ(Forbo)社製のファニチャーリノリウムを使用しています。
すべて天然素材からできているため、無垢材と同じような、温かみと柔らかさを感じられることも大きな特徴。あるデンマークの家具職人は、ファニチャーリノリウムのことを「木のような自然の温もりを感じられる素材」と表現しています。
ファニチャーリノリウムは、数多くの利点を備えている、クオリティの高いマテリアル。わかりやすいようにポイントをまとめてみました。
- すべて天然の原材料から作られた自然素材
- 自然素材ならではの温かみ、柔らかさがある
- 抗菌・抗ウイルス・脱臭・抗アレルギー性に優れた特徴がある
- 洗練されたマットな質感
- 汚れや指紋がつきにくい
- 帯電防止効果があり、ホコリがたまりにくい
- 適度な弾性があり、高い筆圧感を得られる
- 燃えにくく、有害物質が出ない
- サスティナブル(持続可能)な素材
- 北欧で家具材としてよく使われる
ファニチャーリノリウムはいろいろな面において「あんしん」できる素材。 テーブルやデスクは、手で触れる機会の多い家具なので、メリットが多そうですね。
オフィスのワークデスクやミーティングテーブル、フリーアドレスデスクとして、またダイニングテーブルとしてもぜひ使っていただきたい、KANADEMONO おすすめの天板素材です。
by KANADEMONO では全部で24色のリノリウムのカラーバリエーションをご用意しています。
リノリウム とは
リノリウムの歴史
リノリウムは、 1860年代にイギリスのフレデリック・ウォルトン( Frederick Walton 1834-1928 )により発明された素材。
リノリウム (linoleum) は、ラテン語である、linum(亜麻)と oleum(油)を合わせた造語であり、ウォルトンにより命名されました。
優れた抗菌性・抗ウイルス性・抗アレルギー性・脱臭性があることから、医療機関や教育施設の床材としてよく使われており、すでに160年以上もの歴史があります。
日本でのリノリウムの歴史も古く、1919年に藩士がアメリカより持ち込んだという記録が残っています。当時は軍艦の甲板などによく使用されたようです。
環境配慮の時代にマッチした素材
しかし「リノリウム」は、ちょうど日本における高度経済成長期の頃に、生産性が高く安価な化学製品「塩化ビニール」に取って代わられてしまいます。
しばらくは、塩ビがリノリウムの代替品として世界的な市場を席巻しますが、1990年代にダイオキシン発生や、可塑剤に対する不安などが社会問題になったことを背景に、欧州では再びリノリウムの普及率が向上しはじめます。
「ヒトと環境にやさしい素材」といわれる所以がよくわかる歩みをしてきた、興味深い建材のひとつです。
今回 KANADEMONO テーブルで使用している「ファニチャーリノリウム」とは、主に家具やテーブル、デスクの天板用として開発されたリノリウム。柔らかい質感と表情で、デザイナーズ家具やキャビネット、ドアの表層材としてよく使用されています。
素材について
リノリウム(ファニチャーリノリウム)は、すべて天然素材から作られています。
主な原料であるアマニ油をはじめとして、石灰岩、ロジン、木粉、ジュート(黄麻)、天然色素(ピグメント)を使って製造されています。
すべて自然素材できているため、化学素材と比べて生産に時間はかかりますが、「ヒトと環境にやさしい」のが特徴です。
すべて天然素材で作られています
アマニ油 Flax seed oil
リノリウムの主要な原材料で、亜麻という植物の種から油を採取し、酸化させて天然の樹脂を製造。これがリノリウムの核となります。酸化する過程で、抗菌・抗ウイルス・脱臭・抗アレルギーなどの効果が生まれます。
ジュート Jute
別名で黄麻(コウマ)と呼ばれる植物繊維。ジュート繊維は伸びる度合いが小さいために安定した性質をもち、カーペットの基布としてもよく使われている素材。リノリウムの裏打材としても、天然のジュートを使用しています。
ロジン Rosin
マツ科の植物の樹液である松脂(マツヤニ)から得られる琥珀色、無定形の天然樹脂。アマニ油に混ぜることによってリノリウムに強さと柔軟性を与えます。
ピグメント Natural pigments
ナチュラルで美しい色作りには天然色素がかかせません。鉛やカドミウムといった重金属を一切含まない、生態学的に安心な色素を使用しています。
石灰岩 Limestone
石灰岩は、炭酸カルシウムからできている岩石で、セメントや有機合成の原料によく利用されています。とても細かく粉砕した石灰岩を入れることにより、密度の高い安定したリノリウムが作られます。
木粉 Wood powder
管理された森林から伐採された木材を細かく粉砕して使用します。顔料に混ぜることによって色が安定し、表面が滑らかになります。また色褪せを防ぐような効果も期待できます。
さまざまな効果
ファニチャーリノリウムは、抗菌・抗ウイルス・脱臭・抗アレルギー性に優れているという特徴があります。
リノリウムの主要な原材料であるアマニ油に含有する「オメガ6系リノール酸」に自然の抗菌性が含まれているからです。
アマニ油が酸化する過程においてこれらの効果が出ることが実証されています。
リノリウムは古い歴史をもつ素材のひとつです。かつては、イギリスの看護師ナイチンゲールが、院内感染を防ぐ手段のひとつとして、医療施設の木製の床にアマニ油を塗り込んだという記録が残っているそうです。
ダイニングテーブルやデスクは、手で触れる機会の多い家具なので、抗菌性があると安心ですね。
清潔に保てる、4つの効果
抗菌 anti-bacterial
リノリウムの抗菌試験において、メチシリン耐性黄色ぶどう球菌 (MRSA) ・大腸菌 O157・大腸菌 NBRC3972 などの菌に対する、99.9%以上の不活化が実証されています。
抗ウイルス anti-virus
リノリウムの抗ウイルス試験において、ノロウイルス・A型インフルエンザのウイルスに対する、99.9%以上の不活化が実証されています。
脱臭 deodorize
リノリウムの脱臭試験において、空気中のアンモニア臭が3時間で臭いがほぼ0%になることが実証されています。
抗アレルギー anti-allergic
リノリウムは、自然の原材料でつくられているので、有害化学物質を出さず、ヒトと地球に優しい素材。ホコリが付着しにくい性質もあるため、WHOは、アレルゲン(ハウスダウト)を削減する対策のひとつとして、リノリウムの使用を推奨しています。 低VOC(揮発性有機化合物)性でもあるので、シックハウス対策としても有効です。
※ 上記の試験は、特定の試験機関において、リノリウムを床材として使用した状況で行われています。
※ 抗菌効果はすべての細菌に対して抗菌作用を有するわけではありません。
※ 抗ウイルス効果はすべてのウイルスに対して発現するものではありません。またすべてのウイルスに同様の試験結果が得られるとは限りません。なお、抗ウイルス性製品の表面に付着したウイルスに対して発現するものであり、感染予防を保証するものではありません。
※ 抗アレルギー効果はすべてのアレルギーに対して抗アレルギー作用を有するわけではありません。
※ リノリウムの効果について、詳しくはこちらをご覧ください。
マットな質感
ファニチャーリノリウムの大きな魅力は、洗練されたマットな質感が表現する「温かみ」と「やわらかさ」
北欧でも家具材としてよく使われており、有名なデンマークの家具職人は、ファニチャーリノリウムについて以下のように表現しています。
「メラミンや石材の表面のような硬く冷たい感じはなく、手で触れれば自然を感じられるのが魅力なんだ」
「無垢材と同じような温かみと柔らかさがあり、木もファニチャーリノリウムもどちらも生きている自然素材だね」
「ファニチャーリノリウムに傷をつけると、リノリウム自身が修復して、だんだん傷が目立たなくなり、消えていくんだ」
※ 傷の程度によりますが、小さな傷については、アマニ油などを馴染ませてから拭き上げることで、傷が目立たなくなることを確認しています。
また、見た目や手触りの良さだけでなく、実用性も兼ね備えています。
- 汚れや指紋がつきにくい
- 帯電防止効果があり(静電気が起こらない)、ホコリが付着しにくい
大勢の人が使うような、ミーティングテーブルやフリーアドレスデスク、パントリーのテーブルなどに特におすすめです。
高い筆圧感があります
ファニチャーリノリウムは、柔らかな触り心地。使えば使うほど手に馴染むので、愛着が湧くような素材感があります。
また適度な弾性があるので、高い筆圧感があり書き物を多くする方にぴったりの天板です。PCを使用しながらも、普段から万年筆を愛用される方は意外と多いのではないでしょうか。
万年筆本体の重みだけを使い、紙の上を滑らせるように文字を綴る際、ファニチャーリノリウムの天板が、心地よくサポートしてくれます。
手をつかってクリエイティブな仕事をされる方にもぜひ試していただきたいテーブルです。
ファニチャーリノリウムは、書類や契約書などに記入する機会が多いシーンにて重宝されており、銀行などのお客様用テーブルに採用されることが多いようです。
北欧家具でよく使われます
北欧家具はいろいろな素材を組み合わせて作られることが多いですが、ファニチャーリノリウムもそのデザイン性と実用性から、よく使用される素材。
なかでもリノリウムを使用した家具としてよく知られているのは、1933年にアルヴァ・アアルトがデザインした「スツール60」です。
アアルトは、選び抜いた素材である、フィンランドのバーチ材とリノリウム材をつかって、シンプルで美しいプロダクトを製作します。
スツールとして、サイドテーブルとして、ディスプレイ台として、 あらゆる使い方ができる汎用性のある「スツール60」は、まさにリノリウム素材なしでは完成しなかった家具かもしれません。
天然素材からできているファニチャーリノリウム材であるからこそ、無垢材などの自然素材との相性がとてもいいといえます。
「自然」と「暮らし」がともにある北欧ならではの家具材の選択ですね。
地球にやさしい
ファニチャーリノリウムは、生態系に悪影響がでないように採取された天然素材だけが原材料。
色鮮やかなカラーバリエーションがありながらも、着色料などは一切使用せず、ナチュラルピグメントのみを使っています。
欧州では、リノリウムが環境にやさしい+サスティナブルな素材であることはよく知られており、欧州各国にてエコマークを取得しています。
またリノリウムは発火点が高いため、万が一火災が発生しても燃えにくい性質をもっています。焼却したとしても、原材料が天然素材のため、有害ガスは発生しません。もちろん、塩化ビニールのようにダイオキシンが発生することもありません。
埋めるとやがて生物分解して土に還るので、地球にやさしい素材のひとつといえます。
ファニチャーリノリウムの補足
ファニチャーリノリウムはすべて自然の原材料からできているため、天然素材ならではの特性があります。
リノリウムが「生きている素材」であることをご理解していただき、使えば使うほど味が出てくる天板として、大切に使っていただければ幸いです。
● リノリウムの匂いについて
ファニチャーリノリウムは、リノリウム独特のアマニ油の匂いが少しだけします。
日常的に換気がされている空間では、ほとんど気にならない程度の匂いで、時間の経過とともにやがて消えていきます。
ただし、密閉された空間ではこの匂いがなかなか消えない場合があります。
人体に無害の匂いですので、あらかじめご了承くださいますようお願いいたします。
● 光の影響について
ファニチャーリノリウム独特の特性により、紫外線や蛍光灯などの光によって、若干色が変化する場合があります。ただし、色褪せるというよりも「色が馴染んで落ち着く」というイメージです。
ブラックなどの濃い色の場合は、目に見える色の変化はほぼ見られません。
ただし、デスクトップなど物を天板上にずっと置かれる場合は、テーブルを組み立てた後、上に何も載せずに1日放置することを推奨いたします。
日当たりやライトなどの環境にもよりますが、大体1日程、設置したい場所に置いていただくと、天板がその位置に馴染み、色も変わり切るようです。
● 遮光の影響について
ファニチャーリノリウムのテーブルの上に長期間ものを置き、遮光状態が続くことで黄色く色が変化することがあります。
これは、遮光されることで、乾燥室フィルムという黄色の皮膜がリノリウムの表面に現れてしまう”乾燥室フィルム現象”というものであり、変色や品質劣化ではありません。
特に明るい色(Mushroom、Vapour、Pebble など)や緑系の色(Pistachio、Olive など)は現れやすい現象です。
再度光に当てることでほぼ元に戻りますが、また遮光状態が続くと同じことが発生します。
●リノリウムの柔らかさについて
ファニチャーリノリウムは、柔らかく心地のいい手触りですが、その反面、傷がつきやすい商品です。
傷の程度によりますが、小さな傷については、アマニ油などを馴染ませてから拭き上げることで、傷が目立たなくなることを確認していますが、すべての傷を修復できるとは限りません。
無垢材のテーブルを使っているうちに、スレや小さなキズができた場合、「いい味が出てきた」と受け止めていただいているように、リノリウム天板も「生きている自然素材」として、使い込んでいただければ幸いです。
また、製造および梱包・配送過程にて最新の注意を払っておりますが、製品の特性上、天板に小さなスリキズや凹みがみられる場合が稀にございます。
大変恐縮ですが、上記の点においてご理解いただいた上で、ご購入くださいますようお願いいたします。