コラム

KANADEMONOの世界観を香りに映し出した
調香師 津田啓一郎さん

THEシリーズ

家具が形作る空間に、香りがそっと加わる瞬間。視覚だけでは感じられない心地よさが加わり、その場所がより自分らしいものへと変わっていきます。

KANADEMONO が新たにスタートする THE ROOM FRAGRANCE は、家具メーカーならではの視点から生まれた、インテリアと香りが融合したプロダクト。

今回は、香りが空間に与える力や、KANADEMONO の目指す香りのかたちについて、調香師・津田啓一郎さんと商品開発担当・ゆかさんにお話を伺いました。


1. 調香師が見つけた、香りがもたらす日々の変化



─── 香りが日々の生活やお部屋に与える影響について、どう感じていますか?

お部屋は日々の暮らしの砦であり、自分や家族の滋養を整える場所だと思います。

だからニュートラルな自分に調整できること、リラックスできることが一番であり、そんな自分のコンディションを整える「心地良いと感じる空間作り」に、香りの存在・作用は必須だと考えています。

お部屋の中をいい香りに保つことで「僕/私はお部屋の匂いを気にしている」と自身で意識することは、案外生活の質をあげる手っ取り早い方法だと思います。

ただそれが「消臭剤」というシンプルな商品だけだと少し味気がない。もう少し艶のあるコンセプチュアルな香りを生活の中で漂わせられると、より自身の生活を趣のあるものにできると思うんです。




2. 調香へのインスピレーション



─── インテリアに香りを調和させるという点で、どのような工夫や課題がありましたか?

KANADEMONO の4種のスタイルは、人物アイコンにも表現されているように、それぞれのキャラクターや好きなインテリアテイストがしっかり設定されています。

香りを作る上で、ゆかさんをはじめとするご担当の方々と相談しながら、その空間にいる人物や状況を想像しながら作りました。

─── KANADEMONO のブランドやスタイルイメージについて、どのような印象を持ちましたか?

一番素敵だと思った点は、空間作りの提案として「そこにいる人」「それを選択する人物像」でスタイルイメージをカテゴライズしていたこと。自分の巣作りをする上で非常にわかりやすく、人の暮らしや日々に寄り添っているなと感じていました。

もしかすると身に付ける香水やフレグランスも、その方がわかりやすいのかもしれません。香りなんか特に視覚化できるものではないので、いい香り前提に作られているものの、いざその中から「自分らしいもの」を選ぶというのは案外難しい。

今回のように、人物像が設定されていたりすると、「この部屋に住んでいる人の部屋や衣類から、こんな香りがふわりとするといいな」と想像しながら作れたので、非常に楽しい調香作業でした。




3. KANADEMONO の世界観を香りに落とし込む



─── スタイルそれぞれの世界観をどのように解釈し、香りに反映させましたか?

Kanademono はシンプルな大人っぽさや、ビジネスシーンにも活用できる香り。性別を問わないホワイトティーの清潔感を感じさせるものに。

Gemone は少し粋で成熟した色気を感じる、ムード漂う雰囲気に。人気の高いウッディーノートにすることで、お部屋を落ち着いた雰囲気のある、小慣れた空間にしてくれる香りです。

Favrica は、陽気で明るいフローラルノート。果実の甘さは空間を華やかにしてくれます。決して女性的というわけではなく、初夏など、暖かい日に部屋の窓を開けて活発な一日にしたくなるような香りです。

Wabikaは、日本の静けさを体感できるような香りにしたく、古くから日本人として馴染みのある素材をチョイスしています。和室にも寄り添えるような穏やかな香りです。

KANADEMONO の家具はビジネスシーンなどでも使用されていることから、あまりくどく残るような香りにせず、そっと感じるくらいの香り強度に留めました。




4. インテリアメーカーの視点 : 香りを取り入れた理由



─── 商品開発担当のゆかさんにお聞きします。なぜ家具メーカーとして、香りを取り入れることにしたのですか?

空間を作るとき、家具や雑貨の他に香りも結構重要な要素だと思っています。自分の個性を表現したり、そこで過ごす自分が心地よく過ごすためにも。

なので、KANADEMONO で展開している4つの個性的なインテリアスタイルに合わせて、色んな方や色んな部屋にマッチするオリジナルの香りを作りたいなと。

─── 4つのインテリアスタイルに合わせて香りを作るというアイデアはどのように生まれましたか?

オリジナルの香りを作りたいけど、何をもとにどんな香りを作るか?と考えた時、KANADEMONO のインテリアスタイルに合わせて作ったら面白いかもと思いスタートしました。

それぞれ全く違うスタイルなので差別化もしやすく、異なる個性があるからこそ、多くの方にマッチする香りを届けられるのではないかと思います。


津田啓一郎 さん
幼い頃から植物を好み、10代の頃から装花・装飾の仕事に携わる。国内とフランスで調香を学び、アロマメーカーにて香り商材や化粧品の商品開発に従事。植物原料の品質管理まで携わる経歴を活かし、フリーランスの調香師・開発者として香り事業を営む。

sōhon
香りと草本植物の持つ儚さを重ね合わせ、日本人らしい情緒を香りで表現するフレグランスラボ〈sōhon〉。香り雑貨や化粧品の調香・企画開発を手がけ、小ロット製品の受託製造やOEMも対応。精油や植物原料の仕入れから卸販売まで幅広く展開し、香り商品開発のコンサルティングや企画プロジェクトにも参画。さらに、セミナーや講習会を通じて、香りが日常に与える豊かさを届けている。
https://sohonscent.com/
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